DESIGN-R(デザインアール)とは、褥瘡(じょくそう)の状態を正しく評価するために用いられる指標のことです。
褥瘡には、ちょっと皮膚が赤くなっているものから骨まで見える傷まで様々です。創の深さが違えば、当然治療も異なります。そのため、褥瘡の状態を正しく評価し、適した治療・ケアを継続していくことがとても重要です。
目次
- アルファベットの意味
- DESIGN-Rを読んでみよう
- まとめ
アルファベットの意味
D epth(深さ)
E xudate(滲出液)
S ize(大きさ)
I nflammation・Infection(炎症・感染)
G ranulation(肉芽組織)
N ecrotic tissue(壊死組織)
の頭文字を組み合わせ、DESIGNーRと名付けられています。ちなみに、最後のRはRating(評価)の頭文字です。つまり、褥瘡を「深さ」と「浸出液」と「大きさ」と「炎症・感染」と「肉芽組織」と「壊死組織」で「評価」するのが、DESIGNーRです。
それぞれの項目に点数が割り振られており、D(深さ)以外の点数を合計することで褥瘡の重症度や経過を評価します。
DESIGN-Rを読んでみよう
突然ですが、ここで例を挙げます。
A氏 80代 女性 仙骨部に褥瘡があり、カルテには昨日の褥瘡評価が
D3‐e1s6I3g1N3P6:20
と表記されていました。どんな褥瘡か想像つくでしょうか?DESIGN-Rを初めて見た人は、全くわからないと思います。
なんか、アルファベットの大文字と小文字が混じってますね…
しかも、急に出てきた P
アルファベットの横にある数字と、最後の20…
いろいろややこしくなってきたので、一つずつ説明していきます。
まず、アルファベットの大文字・小文字ですが変換ミスではありません(笑)。(超ざっくりですが・・・)大文字が重症で小文字が軽症って意味です。
なので先ほどの例を見ると、、、D3‐e1s6I3g1N3P6:20
D「深さ」、I「炎症・感染」、N「壊死組織」、p「?」が重症で
e「浸出液」、s「大きさ」、g「肉芽組織」は軽症ということになります。
つまりA氏の褥瘡は、「浸出液や大きさは大したことなく肉芽の状態もまあまあ良いが、結構深くて炎症所見と壊死組織もある+P」ってことがわかりましたね。
PはPocket(ポケット)の意味で、褥瘡にポケットがあれば大文字で表記します。なければ表記しません。ですからA氏の褥瘡は残念ながらポケット付きでした。
(どうしてDESIGNPという名ではないか不思議ですが、知りません。作った人に聞いてください)
アルファベットの大文字・小文字だけで、大まかなA氏の褥瘡状態が把握できましたね。だいたいこんな感じだな~ぐらいはわかったと思います。ですが、当然ながら「だいたいこんな感じ~」で評価してはいけません。もっと細かく分類し評価するために、数字 が使われます。
Depth(深さ)
褥瘡のDは、最も深い部位で評価します。

A氏の場合「D3」でしたから、「皮下組織までの損傷」だとわかりましたね。
Exudate(滲出液)
褥瘡のEは、ドッレッシング材やガーゼの交換頻度で評価します。

A氏の場合「e1」でしたから、「毎日ドレッシング材交換するほどではない少量の浸出液」があることがわかりました。
Size(大きさ)
褥瘡のSは、長径(最も長い部位)×長径と直角な最大径を計算して評価します。


A氏の場合「s6」でしたから、長径×長径と直角な最大径が4以上16未満の大きさであることがわかりました。
Inflammation/Infection(炎症/感染)
褥瘡のIは、創の発赤や腫脹、熱感等の有無や程度を観察し評価します。

A氏の場合「I3」でしたから、褥瘡に炎症徴候、膿、悪臭といった明らかな感染徴候があることがわかります。
Granulation(肉芽組織)
褥瘡のGは、良性肉芽の有無・程度で評価します。

A氏の場合「g1」でしたので、褥瘡の90%以上が良性肉芽だとわかります。
Necrotic tissue(壊死組織)
褥瘡のNは、壊死組織の有無と硬度で評価します。様々な壊死組織が混在する場合は、全体的に大きい方を評価します。

A氏の場合「N3」ですので、柔らかい壊死組織があることがわかります。
Pocket(ポケット)
褥瘡のPは、ポケット有無・大きさで評価します。ポケットの大きさは、褥瘡の大きさと同様に長径(最も長い部位)×長径と直角な最大径で計算します。

a×b-c×d でポケットの大きさを計算します。

A氏の場合「P6」ですから、4未満の小さなポケットがあることがわかります。
点数の合計
最後の数字は、D(深さ)以外の数字を合計したものになります。

点数を合計することで、褥瘡の重症度を数値化することが出来ます。数値化することで褥瘡が複数ある場合の重症度の比較や、前回の評価時との比較を行うことが出来ます。
D(深さ)は創の状態を示すもので重症度の指標には向いていないため、D(深さ)は点数に含めません。
まとめ
さあ、これでDESIGN-Rを読むことが出来るようになったと思います。
A氏の場合 D3‐e1s6I3g1N3P6:20 でしたので、褥瘡は
「皮下組織までの損傷」
「毎日ドレッシング材交換するほどではない少量の浸出液」
「長径×長径と直角な最大径が4以上16未満の大きさ」
「褥瘡に炎症徴候、膿、悪臭といった明らかな感染徴候がある」
「褥瘡の90%以上が良性肉芽」
「柔らかい壊死組織がある」
「小さなポケットがある」
だとわかりました。
DESIGN-Rが読めれば、その逆を行い褥瘡の評価もできるかと思います。さすがに状態と点数まで覚えるのは大変ですので、DESIGN-Rの評価表等を参考に評価できれば十分かと思います。
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